xy

あなたはたくさんの感情をやたら煮詰めては甘くしていたが、それを掬って塗りたくったり差し出したりはしないようだった。ただ瓶に詰めて蓋をしてラベルを貼る。かたづける。あなたのやり方が新鮮で、どうも勿体ないようにも思えたけれど、迷いのない手つきには妙に惹かれてよく見ていた。

声をかければ、手を休めず、少しもやり方を歪めずに横顔のままあなたは答える。つやつやと整列していくさまに、あなたはこころから満足しているようだった。甘い香りは順番に閉じられていくばかりで、遂にひとつも私のものにはならなかったので、中身の出来を知るすべはない。

いつかあなたが自分で開けてみることがあるのなら、その香りや味を前にしてどんな顔をするのか見てみたい気がする。その頃には私はもう死んでいると思うが、もし見ることができたなら、私は可笑しくて可愛くてたまらなくなり、きっとたくさん笑うだろう。その笑い声も、そもそも死の知らせもあなたには届いていない。なぜなら私とあなたはずっと私とあなたのままだったし、その遠さは夢が夢であることと同様に当然で、明白かつ侵しようのないものだったからだ。