心技体

好きだった菓子も律して食べないようにしているうちに、不思議と好きではなくなった。均質な甘さより筋質の厳しさを選び取っていった結果、身体は強く、堅く頑なに成り果てた。いつも今日が人生最後であっていいように、今日が人生最後の日であるかのように、ただしあたかもこれから永遠に生きるかのように、振る舞っていたかった。

「遠くに行けないなら今ここで高く跳べ」、かつて自分に言い聞かせた言葉は今でも新鮮だ、思い出せた、忘れていなくてよかった、いや思い出すってことは今まで忘れていたってことだからそれってどうなんだろう、でも書き残しておけば読み返して目に触れたとき、必ず意味が像を結んでよみがえる。だからどんなこともやっぱり書いて書いて、書いていくしかない。心が折れたら体もじきに折れる。知らなかったけどそれだけ「心」と「体」を、連結してまっすぐ生きていられたっていうこと、かもしれない、「技」がちょっと足りなくて、三角のバランスが崩れただけ。それを受け入れて、折れたら折れたで、だって折れるまでは生き抜いたんだからいいじゃない、って、ほんとは誰かが言ってくれたらよかった。