ダンスフロアのかぐや姫

「暗」にも「闇」にも音があってやさしい
音楽の根であり寝床、ゆりかごかもしれない場所

だからあの子は目を瞑って音に泳ぐのね
まるで生死の果てに帰っていくみたいな安心しきった顔で

瞬きの間に彼女が体ごと消えるんじゃないかと
きりきりと気を張って見ているせいで
私のコンタクトはいつも乾いて砕けそうになる

 

”音楽は世界を上書きし、規則の次元をアップデートして我々を移送する”

 

どうせならてっぺんのいちばんいい時に全てぶち壊して帰りやがれ
天井を突き破って風穴そのものになって、びゅうびゅう向こうへ
さびしいと思うのになぜか少しだけそれを期待している
あまりに流れにも光にもきれいに溶けこむものだから
いつかほんとに音になってしまうのだと

その瞬間を見つける私でありたいと思っている
割れたレンズが網膜を傷つけて、私の最後の風景を閉じきってくれたら
はじめて音になる方法を見つけだすのかもしれない