致死量に至らない自己愛

ロックンローラーは甘い物好きで
バナナとベーコンとピーナッツバターを挟んで
ホットサンドにして日々食べて
ぶくぶく太ってそれで死んだ
というのは噂

 

好きなものを好きなだけ
何も悪いことをしていない
それでも体はいのちを裁くから
いちばんカロリーが少なそうなものだけを抜いて
死に向かう速度を落とす
大して変わらないとしてもいくらかましにはなるだろう

 

適切な構成でそれを食えない
呼ばれるような名前で成立しない
不足と言えるほどには欠けず
ほとんど甘いままで濁す
臆しながら毒を入れる
顔に日々石油を塗りつけるのと同じに

 

挟まれ損ねた果物は台所で
吊られたまま黒ずんで
やがてずるりと落ちる
はだけた肌に仮に白さがあっても手遅れ
いつも気付いた頃には間に合っていない
重力に負けた身を眺めるだけ

 

今日もまともな食事をしていない